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法人のお客さま 経営TIPS

【作成例付き】売上管理の重要性とは?管理の方法・ポイントを解説

  • 公開日:2023年4月28日

事業を行っていくうえで、誰しもが気にする数字が「売上」です。 経営をしていくと売上や費用、利益などさまざまな数字に触れることになりますが、なにより売上が上がらなければ経営を続けていくことはできません。 今回はそんな売上の数字に関して、飲食店をはじめとした店舗経営を行っているかたを対象に、どのように管理していくのがよいか解説します。

売上管理とは?なぜする?

売上管理とは、利益を上げて継続的に事業を成長させていくために、日々の売上の数字を集計し、目標とする売上高に対する達成率の確認や差異の分析などを行っていくことです。

単に毎日の売上を記録するだけではなく、最低限経営を維持していくためにはどれだけの売上が必要なのかということを把握したうえで、現状との差異の原因を調査していくことも、売上管理の一つです。

どのような事業を経営していくにしても、どんぶり勘定にならずに、価格設定や原価管理などをしっかり行っていくことが、経営を続けていくうえでは重要です。 そしてさまざまな管理指標の基本になるのが、売上の数字です。 経営にかかるコストなどから最低限必要な売上を計算し、さらに利益を残すために商品やサービスの価格を決めていき、目標となる客単価を設定し、それと実績を比較して経営改善を行っていくことが、経営の基本です。 そのために、売上管理は必須の業務として行っていかなければいけません。

売上項目で確認すべき項目

店舗経営においては、売上だけではなく原価率や人件費率など管理すべき項目がいくつかあります。
個人事業主にしても会社にしても、毎月の決算書(試算表)には売上をはじめ原価や販売管理費などの項目があり、それらが密接に関連して、経営の成果が利益という形で表示されます。

このような数値の中でも売上の管理はお客さまの入り方に依存するため、店舗経営の数値管理の中でもコントロールすることが難しく、だからこそしっかりと管理していかなければならない項目です。

売上管理をしていく上では、いくつかの管理すべき項目(指標)があります。どのような業種にも当てはまることですが、数値管理の基本はシンプルであることです。
大手の会社であればいろいろな分析ツールを駆使して、さまざまな数値管理ができる体制が整っていますが、小規模な店舗ではそこまでの余裕もなければ、専門性もないのが通常です。そのため、単純な計算で管理できる数値管理こそが必要であり、かつ有用なものとなります。

そこで、ここでは売上に関して最低限管理しておくべき項目に絞って紹介します。

(1) 売上目標に対する達成率

なんといっても重要なのは、売上目標に対する達成率です。 この指標が管理できないと売上管理は意味をなさないといっても過言ではありません。

「売上目標」といっても、なんとなく「今日は10万円売り上げるぞ。」といったどんぶり勘定なものは、売上管理における「売上目標」とは言えません。 売上管理における「売上目標」とは、しっかりとしたコストの予測に応じて最低限どれだけ売上を上げればよいか、さらに多店舗展開など成長のための投資をするには、どれだけの売上を上げる必要があるのかを数値化したものです。

売上管理を行うには、まず最低限必要な売上を計算しなければいけません。 この手法の一つとして最も有名なのが、損益分岐点分析です。 損益分岐点を把握するには、まずコストを変動費と固定費に分ける必要があります。 変動費とはコントロール可能な費用、固定費とはコントロールできない費用といったイメージでとらえるとよいでしょう。

変動費の主な例:仕入高、アルバイト人件費、光熱費など
固定費の主な例:正社員の人件費、家賃、リース料など

そして経営を続けていくうえでは、まず最低限固定費を賄うだけの利益を上げる必要があります。 ここで重要なのは、固定費を賄うのは売上ではなく利益である点です。 変動費は売上に応じて金額が変動する費用です。 そのため、まずは売上に応じた変動費の割合を確認する必要があります。

例えば、100万円の売上につき変動費が40万円かかる場合、変動費率は40%です。そして固定費が80万円かかる場合、売上が100万円のままだと赤字です。

そこで、固定費80万円を賄うにはおおよそ134万円の売上が必要です。
134万円-(134万円×40%)-80万円≒0円

つまり、この数値例では134万円がお店を維持するために最低限必要な売上目標ということになります。

上記の例を一般的な数式で表すと、
売上目標=固定費×(1-変動費率)
となります。この売上目標を達成するために、売上をさらに客単価や客数などの細かな数値に落とし込んでいきます。

(2) 前期や前月との変動率

前年同月や前月との売上比較も有効です。飲食店などは、月ごとのイベントの有無によって大きく売上が変動する場合がありますし、外的な要因が売上に大きく影響することがあります。

そのようなときに前年同月比や前月比の売上の変動を見て、なぜ変動したのかということを分析することも有効です。 毎日売上を管理していれば、どの日どの曜日が影響しているのかということも見えてくるかもしれません。

さらに売上以外の項目にも関連しますが、原価率の管理も重要なポイントです。 飲食店であれば、仕入れ値が上がっていれば売上目標も上げなければいけません。 コストカットには限界があるので、基本的に原価が上がればそれに応じて売上目標も上げるべきです。
そして売上を上げるには、価格に転嫁するか客数を上げるかといった施策が必要です。 具体的な施策はお店の戦略次第となりますが、原価率に着目することで、どんぶり勘定に陥っていつの間にか赤字が膨らんでいるといったことを避けるための対策を立てることができます。

売上管理を行う方法は?

前述の通り、売上管理はシンプルであるべきです。 特に小規模な店舗では経営者が売上管理を行いますが、そのほかにも仕込みや仕入れ、プロモーションなどさまざまな業務をこなさなければならない経営者にとって、売上管理に時間をかけすぎたりこだわりすぎたりして、手段が目標になってしまうようなことは避けなければいけません。

できる限りシンプルに売上管理を行うための方法を紹介します。

表計算ツール(Excel、Googleスプレッドシートなど)を用いる

売上管理は店舗経営において必須の業務です。とはいえ、開業間もなく多店舗展開しているわけでもない店舗では、売上管理にそこまでコストや時間をかける余裕はありません。そのため、開業当初はできる限りコストをかけず、かつシンプルに管理していくことが重要です。

そこで売上管理として最も用いられているツールがExcelです。Excelであれば専用の管理ソフトを入れる必要もなく、かつ柔軟に表のスタイルを変化させられます。

店舗経営者の中には、Excelの操作に苦手意識を持っている人もいるかもしれません。しかし、売上管理にかかわらず数値管理をしていくうえでは表計算ソフトのスキルはある程度必要です。

経営者以外のスタッフが売上管理の一部業務を担う場合などには、多人数で管理できるようにExcelの代わりにGoogleスプレッドシートを使用してもよいでしょう。

売上管理表の作成例

先に述べたように、売上管理表はシンプルに始めることが重要です。シンプルな売上管理表は、必要な管理項目だけが入っていて、Excelなどの計算式も単純なものであることがポイントです。

管理する単位は日単位、かつ毎日記録していくべきです。月単位や週単位だと分析に役立てることができません。日単位で記録することで、目標に対する達成率が日々把握できますし、何よりも毎日数字を管理することで、売上管理をしなければならないという意識付けにもなりますし、売上の変動に応じて対策を立てようという積極的な姿勢も作り出すことができます。

インターネットで検索すれば、いろいろなテンプレートが出てきますので、それらをカスタマイズして使っていくこともよいでしょう。テンプレートを使う際に重要なのは、管理したい項目についてしっかりと反映されているかどうかです。

会計ソフトを用いる

一部のクラウド会計ソフトの中には、売上管理機能がついているものがあります。こうした機能はBtoB型のビジネスで、例えば末締め翌月入金といったような掛取引において特に有効に活用できます。

一方で、飲食店など現金でやり取りするようなビジネスまではカバーしきれないこともあります。そのため、現金でやり取りするような店舗型のビジネスにおいては、別途売上管理表を作成することが必要になってきます。

素早く・正確に売上管理を行うための3つのポイント

これまで何度も書いてきたように、売上管理において重要なのはシンプルに行うことです。シンプルであれば時間をかけずに記録でき、かつ毎日継続的に続けていくことができます。

売上管理において重要なポイントは次の3つです。

(1) 売上管理のツールはシンプルにする

この点は繰り返しになりますが、売上管理をするためには、ツールがシンプルである必要があります。毎日続けることが重要なので、Excelにしても他のツールを使うにしても、できる限り入力に時間をかけずに済む方法を心掛けましょう。

(2) レジシステムを有効に活用する

いまではPOSシステム、つまり売上を自動的に集計してくれるシステムと、代金決済のためのレジ機能が連動したPOSレジシステムが普及しています。そうしたシステムを活用することで、売上も正確に、かつ自動的に集計することができます。

こうしたPOSレジシステムを導入することで、実際の売上の集計を効率的に行うことができ、売上管理もより高い精度で、かつ継続的に行うことができます。

(3) 数値管理に関連する各数字をしっかりと理解する

売上の数字自体は、説明するまでもなく理解することができると思います。商品やサービスの代金として、お客さまからお支払いを受けた金額が売上です。しかし、お店の数値管理には売上だけの理解では不十分です。例えば、原価率を計算するには原価の概念を理解することが必要です。

原価とは、飲食店などのビジネスであれば、売上を上げるためにかかった仕入れなどの代金です。ただ仕入れた金額がそのまま原価になるわけではありません。仕入れても、まだ調理していなかったり販売したりしていないモノは、在庫として計上するので、原価には含まれません。こうした概念を理解しておくことも、事業の収益を測るうえで重要なスキルの一つです。

支払方法による入金サイクルの違いに注意

これは売上管理とは直接関係しませんが、キャッシュフローの把握も経営において重要なポイントです。現金であればその場でお金が入ってきますが、クレジットカード決済であれば、多くのクレジットカード会社では月2回に分けてそれぞれ半月分の入金といった形になります。手元のキャッシュに余裕があればよいですが、支払いのタイミングのほうが入金タイミングよりも早く到来してしまうと、手元にあるキャッシュの状況次第では資金がショートしてしまう可能性もあります。

各種決済サービスを導入する際には、決済してから入金されるまでの期間についてもしっかりと把握しておきましょう。

まとめ

店舗経営では接客やその他サービス、飲食店なら味といった数値化できないことが重要な要素であることに異論はないでしょう。 しかし、それだけでは店舗の経営を続けていくことはできません。 売上などデジタルに測ることができる指標について、しっかりと管理していくことが経営を継続していく上では重要です。 どうしてもこういったことは後回しになりがちかもしれませんが、決してどんぶり勘定にならずに、お店の数値をしっかりと管理していくことで、長く経営していけるお店を目指しましょう。

執筆者プロフィール:
渋田 貴正
税理士・司法書士・社会保険労務士

司法書士事務所V-Spirits代表、税理士法人V-Spirits社員税理士。
税理士法人V-Spiritsでは、開業時の融資サポートや事業計画の策定支援、会社設立支援、開業後の税務顧問など起業家のためのワンストップサービスを行っている。
https://v-spirits-startup.com/

上記内容は、執筆者の見解であり、住信SBIネット銀行の見解を示しているものではございません。

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