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資本準備金とは?資本金と何が違う?基礎を解説

  • 公開日:2021年12月26日

会社を設立するときに出資金を払込みますが、出資されたお金は、資本金以外にも資本準備金として計上することができます。この記事では、資本準備金が何か、資本金との違い、資本準備金を計上するメリット、注意点、増減する手続きをお伝えします。

資本準備金とは?

会社法第445条では「資本金の額及び準備金の額」という項目があり、資本金は会社の設立時や株式の発行時に払込まれた資金の額とされています。
また、払込みにかかる額のうち2分の1を超えない額を資本金に計上しないことができ、その計上しない部分を資本準備金と呼びます。

資本金と資本準備金の違い

資本金と資本準備金は、貸借対照表(バランスシート)上の純資産の部に記載されるものです。
資本金も資本準備金も、株主から出資を受けた額ですが、資本金は登記簿に登記されるのに対して、資本準備金は登記されません。
また、資本準備金は計上できる金額に制限があるため資本金の2分の1を超えて計上できません。資本金が会社の大きさを対外的に表す資金に対して、資本準備金は将来の多額の支出や損失の発生に備えて準備しておく資金なのです。

資本準備金を用意するメリット

会社を設立する際に、資金をなるべく多く入れて始めれば、安定して経営ができるでしょう。

しかし、登記上1,000万円を超える資本金をもつ企業は、設立当初の消費税の免税措置が得られなくなります。また、法人住民税の均等割りも標準税率が適用される地域であれば資本金が1,000万円超になると1,000万円以下の場合と比較すると11万円も上がります。税率は各自治体で異なっていますので、確認するようにしてください。

したがって、会社の設立時に1,000万円を超える資金が用意できる場合でも、資本金を1,000万円以下にして、残りを資本準備金とすれば、税務上の恩恵が受けられることになります。

上記の税制上の優遇以外にも、計上された資本準備金は、欠損が出たときに取崩すことができたり、資本金に組入れたりすることもできます。この部分は、後述します。

資本準備金の注意点

事業の種類によっては、許認可の必要な場合があります。そしてその許認可の要件のうち、基準資産を設定して資本要件を課しているものがいくつかあります。
たとえば労働者派遣事業では、厚生労働大臣の許可を受け、労働者供給事業をおこなう労働組合等から供給される労働者を対象として、労働者派遣事業をおこなう場合の許可要件として基準資産が1,000万円以上あることとされています。設立したばかりの会社であれば、純資産(資本金+資本準備金)の合計が1,000万円以上あればよいので、資本金を800万円、資本準備金を200万円とすれば、基準資産の要件を満たせるとともに税制上の優遇にもつながりますので、資本金の設定の際には要件をよく確認しましょう。

出典:厚生労働省|労働者派遣事業を適正に実施するために-許可・更新等手続マニュアル-

資本金の額は登記簿でも確認できる数字であることに対して、資本準備金は決算書を見なければわからない数字です。外部の取引先や金融機関は、一義的に資本金で会社の大きさや信頼性などを判断しますので、信用を得るためには、資本金の額はできるだけ大きくしたほうがよいでしょう。

資本準備金を増減する手続き

資本準備金のメリットで、欠損が出たときに取崩せたり、資本金に組込めたりとお伝えしましたが、資本準備金を減少させるには、一定の手続きが必要です。1つ目は資本準備金の減額に関する株主総会の普通決議です。2つ目として債権者保護の手続きです。資本準備金を減少させることにつき、官報での公告に加えて、個別に債権者に通知しなければなりません。また、個別通知に代えて、定款の定めに従い日刊新聞紙上での公告もしくは電子公告することも認められています。なお取崩した資本準備金を全額資本金に組入れる場合には、債権者保護の手続きは不要です。

一方、資本準備金を増加させる方法には、資本金から組入れる場合とその他資本剰余金から組入れる場合の2つの方法があります。資本金から組入れる場合には、株主総会での特別決議が必要な一方、その他資本剰余金から組入れる場合には、株主総会での決議は普通決議でおこないます。

資本金・資本準備金と資本剰余金の違い

会社の純資産は、一般的に資本金、資本剰余金、利益剰余金で構成されています。
資本剰余金とは、資本準備金とその他資本剰余金を合わせたものをいいます。その他資本剰余金は資本取引から発生するもので、自己株式を処分した際に生じた売却益や資本が増加した場合に資本金および資本準備金に含めなかった金額などがその他資本剰余金にあたりますので、会社の事業活動によって生じる利益剰余金とは異なります。
ただし、会社法第453条により剰余金は会社の配当原資とすることができるので、利益剰余金とその他資本剰余金は配当することができるという共通点があります。

まとめ

資本準備金は、株主から出資を受けた際に計上できる勘定科目で、将来の多額の支出や損失の発生に備えて準備しておくものです。特に創業時には、上手に使うことで税制上の優遇などのメリットを受けることができます。ただし、外形的には資本金が重要視されますので、紹介したメリットが得られない場合には、極力資本金は大きくしておきましょう。資本準備金に計上した金額も、取崩したり、資本金に組入れたりすることができますので、いざというときのために手続きはきちんと学んでおきましょう。

執筆者プロフィール:
青野 泰弘(ファイナンシャルプランナー・行政書士)
青野行政書士事務所 代表。大学卒業後、数社の証券会社で債券の引受けやデリバティブ商品の組成などに従事。2012年にFPおよび行政書士として独立。相続、遺言や海外投資などの分野に強みを持つ。お金の悩みはたくさんあるが、身近な人には相談しにくいもの。また金融の話には難しい言葉があり、敬遠する人も多いかもしれない。金融を分かりやすい言葉で多くの人に理解してもらえるように説明している。

上記内容は、執筆者の見解であり、住信SBIネット銀行の見解を示しているものではございません。

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