NEOBANK 住信SBIネット銀行
ログアウト
メニュー

法人のお客さま 経営TIPS

給与支払報告書とは?個人別明細書と総括表の書き方を紹介

  • 公開日:2021年12月16日

会社に従業員がいる場合、給料から所得税や社会保険料と一緒に住民税を差引いてから支払うことになります。これからはじめて従業員を雇う会社では、さまざまな控除がどのように計算され、どのように納められているかなどを知らないかもしれません。控除金額を間違えてしまうと給与支払金額に直接響いてしまうため、決算をまたがなければ修正も可能な会計業務に比べてかなり緊張感があります。今回は、給与に関する役所への提出書類の1つである給与支払報告書とは何か、給与支払報告書の書き方について解説します。

給与支払報告書とは?

給与支払報告書は、前年の年末調整が終わったら、従業員が住んでいる市区町村役場へ提出する書類の1つです。

1年間に会社から支払われた給与や賞与などの総額と、納めた所得税の金額が記載された書類である源泉徴収票の様式は、同じ内容の書類が4枚セットになっており、そのうちの2枚が給与支払報告書の「個人別明細書」と呼ばれ、市区町村役場への従業員の住民税の申告に使用します。
各市区町村役場へ提出する際には、給与支払報告書の「個人別明細書」2枚と表紙のような給与支払報告書「総括表」をセットにして、郵送またはe-LTAXで提出します。

提出先は従業員が1月1日に居住している市区町村役場で、通常は住民票のある市区町村役場になります。ただし、住民票がある住所に居住していない場合には、居住地へ送ることになるので、あらかじめ市区町村役場へ相談しておくことをおすすめします。

給与支払報告書の郵送先は各市区町村役場によって、住民税課であったり、集中処理センターであったりするので、必ずホームページなどで調べて送るようにしましょう。

提出期限は、給与支給のあった翌年の1月31日(土日祝日の場合には翌月曜日)です。

そもそも、なぜ給与支払報告書が必要?

給与から差引かれる主な控除には、源泉所得税、住民税(特別徴収)、社会保険料、雇用保険料があります。
源泉所得税と雇用保険料は、毎月の給与等の金額に応じて毎月計算をします。社会保険料は、保険料の料率変更や給与等の金額の変更による随時の徴収額の変更、年に1度の保険料の算定による等級の変更により、徴収する保険料の金額が変更になります。

個人の住民税は前年の所得が課税対象で、翌年に納税します。会社は、前年の年末調整が終わったら、従業員が住んでいる市区町村役場へ給与支払報告書を送付することで住民税の申告が完了します。市区町村役場は、申告のあった所得をもとに住民税を計算決定し、通常は毎年5月ごろに1年間分の徴収金額のお知らせが市区町村役場から会社へ送られてきて、その金額を6月から翌年5月の給与まで毎月差引きます。

このような会社が従業員の給与から住民税を毎月差引き、納付をする方法を「特別徴収」といいます。個人事業主など、給与から徴収せずに納税者本人が納付する方法は「普通徴収」といいます。「特別徴収」は1年間の納税額を12ヵ月で割って、毎月の徴収税額が決まります。

特別徴収は住民税を確実に徴収するための手段で、市区町村役場の徴収作業を大きく削減するとともに滞納の催促業務を減らすことに役立ちます。
ただし、特別徴収をおこなった場合の納税義務者は会社になり、従業員ではなくなります。そのため、特別徴収の納入書を自分で納めるように従業員へ渡して従業員が滞納してしまった場合の責任も会社に発生するため、延滞税も会社が納めなければなりません。

決められた様式はある?

給与支払報告書は、総括表、個人別明細書ともに法令様式であり、総務省のホームページや各市区町村役場のホームページでダウンロードが可能です。

参考までに、総務省が公開している様式は以下となります。
総務省|地方税分野の主な申告手続等における様式【税目別】給与支払報告書
(総括表、個人別明細書)


個人別明細書は、給与ソフトを使用している場合には、源泉徴収票と一緒に印刷することが可能で、そのまま使用すると間違えることもなく簡単です。総括表は、給与ソフトで作成ができる場合には一度設定をすれば翌年以降も新たに入力をすることなく、変更点のみを入力すれば使用できます。
また、総括表は一度給与支払報告書を提出すると、翌年から10月ごろに市区町村役場から送られてくるため、そのまま使用すると入力の手間が省けて便利です。

e-LTAXで提出する場合には、e-LTAXの利用者ID の登録から始まり、ソフトの連携や提出先の市区町村役場へ登録が必要なため、最初は手間がかかりますが、一度送信できれば、郵送代もかからず、提出もまとめて送信できるため、従業員が多くなった場合にはe-LTAXの導入をおすすめします。

提出しないとどうなる?

個人の住民税は、個人事業主などで確定申告の義務がある場合には、確定申告書が税務署経由で市区町村役場へ提出されます。

しかし、確定申告書の提出義務のない給与所得者の場合には、会社から給与支払報告書の提出がないと、市区町村役場から個人宛に住民税の申告書が送られることになりますが、市区町村役場では所得の状況をすべて把握できているわけではないため、住民税の申告書が送られてこなくて無申告のままになってしまうこともあります。

そのため、所得税の源泉徴収義務者である事業主は、市区町村役場へ給与支払報告書を提出し、特別徴収することが義務化されています。給与支払報告書を提出しなかったり、虚偽の記載をしたりした場合には、地方税法第317条の7による罰則を受けることになってしまいます。

また、特例として、特別徴収ではなく普通徴収が認められるケースがあります。その場合も給与支払報告書の提出は必要で、給与支払報告書とは別に「普通徴収切替理由書」が用意されている市区町村役場もあるので、一緒に提出が必要です。

提出不要となるケースはある?

前年の12月31日までに退職をして、給与支払総額が30万円以下の従業員には、給与支払報告書の提出の義務が生じないことになっています。ただし、所得把握のために給与を支払った全員の提出を求めている市区町村役場も多く、基本的には給与の支払いがあった全員の給与支払報告書の提出を前提にしましょう。

個人別明細書の書き方

個人別明細書の各項目名は、スペースの関係で省略され、見ただけでは何を入力するかわからない箇所も多いので、給与ソフトを使っての作成をおすすめします。

記載に際しての注意点は次のとおりです。

  • ※印の箇所は、市区町村役場が記載する箇所ですので、会社での記載は不要です
  • 個人番号(マイナンバー)の欄は、従業員よりマイナンバーの提示を受けて本人確認をおこなった上で記載してください。個人のマイナンバーは、通知書やマイナンバーカードがなく不明な場合には、マイナンバー入りの住民票を取得することで確認できます
  • 支払者欄の「個人番号又は法人番号」の欄は、個人事業主の場合には本人のマイナンバーを記載し、法人番号は国税庁のホームページで検索して記入しましょう

なお「受給者交付用」のみ、マイナンバーを記載しない様式になっています。

総括表の書き方

総括表もほとんどの市区町村役場のホームページでダウンロードが可能なので、提出先の市区町村役場のホームページで総括表のフォーマットを確認してください。

ただし、記載事項はどこの市区町村役場もおおむね同じで、少々フォーマットが違ったものを提出しても受け取ってもらえないことはありません。また、前年の提出のあった会社には、市区町村役場からある程度会社の情報が入力された総括表が送られてきます。送られてきた総括表をそのまま使うと、特別徴収義務者指定番号などが入力されているので便利です。初めて提出する市区町村では、この番号はありませんので未記入のままで問題ありません。

総括表の入力はそれほど難しくありませんし、会社名や住所などがしっかり記載されていれば、少々の記載漏れがあってもそれほど問題になることはありません。
たとえば、「払込を希望する金融機関の欄」は、市区町村役場によっては納付ができない金融機関もあるため記入が必要ですが、特に記載がなくても問題はないです。この欄のない総括表を使っている市区町村もあります。

右の一番下の「納入書」は納付書のことで、ネットバンクなどで納付をする場合以外は要に丸をつけます。ネットバンクなどで納付する場合には、納入書は不要なので、不要に丸をつけてください。
普通徴収の特例に該当する人がいる場合には、報告人員欄に人数を記入し、別途「普通徴収切替理由」を一緒に提出します。

まとめ

給与支払報告書は、年を越した1月31日が提出期限になっていて、年末から年明けにかけては年末調整や源泉所得税の納税、法定調書の合計表と給与支払報告書、償却資産税の申告書の提出など、経理作業が非常に多く、正確さも要求されるためにとても大変です。給与ソフトやe-Tax、e-LTAXを導入すると作業の多くが削減され、経理の効率化の第一歩になります。給与支払報告書の郵送作業は多くの手間と時間がかかる作業ですが、e-LTAXを導入すると提出作業は簡単に済みます。これらの導入についてわからない点は、税理士へ相談してみましょう。

執筆者プロフィール:
須栗 一浩(税理士)
税理士法人エムエスオフィス 代表。1995年に税理士登録し、これまで個人法人の関与先クライアントは500件をこえる。個人事業の開業から、法人設立、相続税まで含めたトータルのコンサルタント業務をおこなう。企業のICT化も推進し、クライアント企業への導入も進めている。ファルクラム租税法研究会研究員。

上記内容は、執筆者の見解であり、住信SBIネット銀行の見解を示しているものではございません。

ネット銀行ならではのコストと利便性

住信SBIネット銀行の法人口座なら
メリットいろいろ

  • 手数料が安い
  • オンラインで口座開設
  • 最短翌営業日に取引可能
免許証とスマホだけ!
法人のお客さまメニュー