キャリア採用
プロジェクトストーリー:NEFSSシステム基盤更改
顧客増加に備える
「勘定系システムの基盤更改プロジェクト」
プロジェクト開始時、勘定系システム(以降、NEFSS)のサービス・基盤保守期限は、2年後に迫っていました。
開発費や人的リソース等も考慮し、現行のIBM社NEFSSで更改を実施することにしましたが、前回の基盤更改の経験を活かして移行リスクを極小化しつつ、短期間での新システムサービスインを実現することを狙いました。更改対応を2つのフェーズに分け、フェーズ1として現行2倍のリソースにすると共に、店番拡張、バッチ多重化、パフォーマンスチューニングを実施することで1,000万顧客への対応を行い、その後、フェーズ2として重要処理軽量化により更なる顧客増に対応する計画としました。
プロジェクトメンバー
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エンジニアS.Y
業務リーダーを担当。基盤更改だけでなく今後の顧客増に備えた処理性能改善に向け、各種管理業務も担当。
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エンジニアS.T
勘定系システムの基盤更改案件にて、プロジェクトマネージャーを担当。プロジェクト開始後は、要件定義、外部設計、テストなどの工程終了判定に向けての準備や、日々のタスク管理、ステークホルダーとの調整などを担当。
プロジェクト参画にあたっての想い
このプロジェクトには、どのような気持ちで臨んだのでしょうか。
S.Y(エンジニア)
前職の銀行では2015年基盤更改、2019年システム移行を経験しており、一つ区切りになったと感じて当社への就職を決意しました。
銀行員として勘定系更改のプロジェクトに参画することはそう何度もある経験ではないと聞いていたので、まさか当社でも勘定系更改という大規模なプロジェクトに参画することになるとは思っていませんでした。
プロジェクトの参画が決まった際は、正直なところ私でよいのだろうかと希望よりも不安のほうが大きかったですが、機会をいただいたからにはしっかりやりきろうと思い直したことを覚えています。
また、前職で経験したプロジェクトと今回のプロジェクトは移行にかかる時間的な要件など勝手が違うということも感じていましたので、これまでの経験はクリアにしてまっさらな気持ちで取り組もうと思いました。
S.T(エンジニア)
当社で管理するシステムは数十に及びますが、その中でも勘定系システムは1、2を争うほどに重要であり、且つ、システム規模も大きいものとなります。さらに勘定系更改対応は7~8年に一度程度で行うものとなります。大型システム、且つ、数年に一度の案件発生タイミングなどの条件を鑑みても、勘定系更改案件という大型案件に関与できる機会はそうそうあるものではありません。まして、プロジェクトマネージャーを担当できることはさらに貴重な機会となります。重圧と共に使命感を強く感じました。数年は当該案件に全てを捧げるという想いで取り組もうと臨んだことを今でもしっかりと覚えています。
プロジェクトが始まってから
実際にプロジェクトがスタートしてからはいかがでしたか。
S.Y(エンジニア)
勘定系更改としては開発期間が短く、2年弱でサービスインする計画のため各工程の遅延はすぐに全体に波及してしまいます。
特にテストでは終盤になっても不具合の検知が続き、スケジュールに余裕が無い中でどのように修正を間に合わせるか、どの範囲で横展開調査を行うか、期限が迫る中でも、焦りが会議の参加者に伝播しないように進めていくことに意識を集中しました。
期限までに全部やって欲しいではなく、何をいつまでにやるというタスクを1日の午前、午後単位で一つずつ合意しながら進めていきましたが、期限に間に合うということが会議参加メンバーと共有できたときはWEB会議でも場が明るくなったのを覚えています。
勘定系システムということで社内外含めて多くのかたが関与されたかと思います。そのあたりの調整も大変だったのではないでしょうか。
S.Y(エンジニア)
そうですね、自分でプログラムの修正等を行うわけではないので、ベンダーの担当者との距離、納得感を得られるかといったことに意識しながら工程を進めていきました。
関連システムや外部接続先のテスト、移行リハーサルでは数十人、数百人が協力して実施していきます。個々のスケジュール調整、実施内容の検討など何度もメールや打ち合わせを行いました。
テストがうまくいかないときも、ベンダーのかたとひざを突き合わせて対応していました。現地立ち合いが必要なシステムだからこそ対面でコミュニケーションが取れていたので解決したときの喜びを共有し、一体感が生まれたことで良好な関係を築くことができました。
開発サイドはいかがでしたか。
S.T(エンジニア)
やはり、ミッションクリティカルな勘定系更改案件としては短めの2年弱の開発期間でサービスインすることの制約には苦労しました。
数十個の外部システム接続があるため、それに関与する多くの関係者とのスケジュール調整が大変でした。同時並行で複数のテストを終えていかないとスケジュールを守れない状況の中、限られた環境をいつどのテストで使用すべきかの調整や、外部協力会社を含めて何百人が一堂に参加しての移行リハーサルの調整などが非常に大変でした。
その他にも、移行リハーサルで合格基準が満たせずに追加での移行リハーサル実施のため関係者との調整、さらにコロナや携帯キャリアの大規模障害など、手の打ちようがないトラブルにどのように対処するかの準備など多くの困難がありました。
これらを乗り越えることができたのは、プロジェクトチームメンバーの力であり、システムベンダーの尽力であり、外部接続システムの協力であり、社内関連部門の支援です。関係する皆さまがそれぞれ全力で前向きに取り組んでいただくことで解決できたものでした。
プロジェクトを終えてみて
2022年7月、プロジェクトは予定通り完了しました。手応えはいかがでしたか。
S.T(エンジニア)
このプロジェクトの完了により、ハードウェア、ソフトウェアの保守期限到来対応が完了したことは勿論のこと、今後にさらに増加する顧客数への対応ができましたので、当社戦略であるNEOBANK事業の積極的な推進に耐える勘定系システムが整ったこととなります。従来比で約2倍のシステムリソースを搭載しているため、当社ネット銀行サービスを利用するお客さまにとってもレスポンス性能の向上などにより目に見えない使用感の向上を感じていただいているかと思います。
S.Y(エンジニア)
実際、リリース後の性能調査・分析から、オンライン取引のレスポンス向上など目に見えにくい部分ですが、改善していることが判明しています。
今後も当社ではお客さまサービス向上のためにさまざまな施策を実施して行きますが、それが可能になるのも、システムの中核にある勘定系が安定し高性能であるからこそと考えています。
プロジェクトを通じて見えてきたもの
大規模かつスケジュールが厳しいプロジェクトということで、得られたものは大きかったのではないでしょうか。今後のご自身の展望なども含めてお聞かせください。
S.Y(エンジニア)
このプロジェクトで得られた一番大きなものは感謝の気持ちです。
プロジェクトに参画させていただいた当社、上司、プロジェクトに関わったメンバーにはとても感謝しています。何より、たくさんの課題、不具合に全力で取り組んでいただいた勘定系ベンダー、テストや移行リハーサルに協力していただいたユーザー、ベンダー、提携先の皆さまなど、関わっていただいたすべての人に本当に感謝しています。
今後もさまざまな案件に関わっていくことになると思いますが、感謝の気持ちを持ってプロジェクトに臨み、参画しているメンバーと喜びを共有できるよう取り組んでいきたいと思います。
S.T(エンジニア)
私も同じです。当該プロジェクトをやらせていただいた当社には感謝していますし、そしてプロジェクトに関わっていただいた方々にはいつも助けていただいてばかりでしたので、本当に感謝しています。また、緻密にかつ前向きに持続的に取り組む姿勢には、本当に尊敬します。
また、今回、巨大システムに深く関わらせていただいたことで、自身がまだまだ未熟で知らないことばかりであることを感じることができた気持ちよさもあります。今後も周りの人に感謝の気持ちを持ち、未知のことにチャレンジしながら成長していきたいと思います。
「NEFSSシステム基盤更改」について
勘定系システムについては、何百万という顧客の取引に対応し、絶対に止めてはならないことから極めて高い安定性、加えて可用性・処理能力・セキュリティーが求められます。HWレベルからの絶対的な安心・安定および当社でのコントロールが完全にできることは極めて重要であり、その点でも現時点ではオンプレミス基盤を採用しています。また、災対環境を用意することは当然ですが、本番環境も2セット用意しています。さらに各セットの本番環境内ではサーバ2重化、コンポーネント2重化、末端部品の2重化など、何層にも渡る可用性対策を施して、絶対に止めてはならないシステムを実現しています。
また、急増する顧客に対応できる処理能力も重視しています。提携企業に銀行サービスを提供するNEOBANK事業では、提携先企業の戦略によっては顧客数が爆発的に増える可能性があります。そのようなケースにも対処できるよう、現在の処理能力の2倍にあたる 1,000万顧客を目処とし、高い可用性・信頼性・拡張性を持つインフラを実現し、当社勘定系サービスを支えています。