キャリア採用
プロジェクトストーリー:高島屋NEOBANK
百貨店の顧客向け金融サービスを模索した
「高島屋NEOBANKプロジェクト」
住信SBIネット銀行は、開業以来の取り組みで培った最先端のITと金融のノウハウを活用し、パートナー企業へ銀行機能を提供するBaaS(Banking as a Service)によって、パートナー企業がお客さまに提供する金融サービスにおいて、新たな付加価値の創造を目指す取り組みである「NEOBANK®」サービスを推進しています。
また高島屋グループでは、金融業を百貨店業、商業開発業に次ぐ成長の第3の柱として位置づけており、2020年には、店頭でお客さまの資産形成や資産承継のサポートを行うファイナンシャルカウンター事業を開始し、ファイナンシャルサービスを百貨店の品揃えの一つとして提供しています。
本プロジェクトでは、両社の長所を活かし百貨店におけるお買物の利便性向上と幅広い世代に百貨店サービスをご利用していただくため、高島屋グループのお客さまを対象にした「高島屋NEOBANK」プロジェクトがスタートしました。
プロジェクトメンバー
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エンジニアY.K
サーバサイド側の積立機能を提供・管理するためのシステム(以下、積立基盤システム)のプロジェクトリーダーを担当。
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デザイナーN.Y
アプリ画面のUI設計、イラストのクリエイティブディレクションを担当。
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DX企画W.K
業務企画部門として、積立機能の業務要件を定義、およびサービスリリース後の事務運用の構築を担当。
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新規事業K.M
営業・企画部門として、協業先である高島屋との調整を担当。銀行代理業等の契約全般に関わる業務や、サービスリリース後のマーケティングプラン策定を担う。
プロジェクト参画にあたっての想い
このプロジェクトは「銀行と百貨店のコラボレーション」というNEOBANKならではのプロジェクトだったかと思います。どのような気持ちで臨んだのでしょうか。
Y.K(エンジニア)
高島屋NEOBANKプロジェクトへの参画依頼を受けた際には、新しくシステムを構築した経験がなかったので「自分にできるのだろうか」といった不安もありました。
ただ、新規システム構築・サービス提供できる仕事はなかなかやってこないだろうと思い、いちから作り上げることができるワクワク感とチャレンジする気持ちで参画することに決めました。
W.K(DX企画)
NEOBANK案件として、初めて業務要件構築フェーズから参画できたため、お客さまにとってより良いサービスを作っていこうと非常にモチベーションは高かったですね。
一方で、銀行商品ではないサービスの業務要件を定義し、関係各署と合意形成を図る必要があるため、正直なところ不安な気持ちもありました。
K.M(新規事業)
百貨店という私自身にも馴染みのある業態と、銀行機能を掛け合わせた新サービスを考えるということで、プロジェクトへの参画が決まった時は非常にわくわくしました。
ネット銀行は30〜40代の利用者が多いですが、幅広い層のお客さまが利用する百貨店のアプリだからこそ、従前の商品・サービスにとらわれない柔軟な発想で、より多くの人に使っていただけるサービスを創りたいという想いで臨みました。
N.Y(デザイナー)
高島屋は以前ステーションモールを頻繁に利用していた時期があったため、携われることに純粋にうれしく感じました。
あとは、NEOBANK案件に比較的初期から入れたのが初めてだったため、高島屋に特化したNEOBANKサービスとして作っていこうと意気込みましたね。
プロジェクトが始まって見えてきたもの
実際にプロジェクトがスタートしてからはいかがでしたか。
K.M(新規事業)
提携NEOBANKサービスは、パートナー企業によって実現したいサービスや顧客層が異なりますので、提携先企業のことをどれだけ深く理解できるかがプロジェクト成功のカギとなるため、本件でもその部分を意識して取り組みました。
少しの認識のずれがサービス設計に大きな影響を与えてしまいますので、明確に定義されていない部分や、あいまいな部分は、まずははっきりとしているところから書き出してみたり、図にしてみたり、各々の頭の中の情報を可視化しながら何度も議論を重ねました。
提携先として何を実現したいか、といった部分の理解や、お互いの認識のすり合わせが難しかったわけですね。
W.K(DX企画)
元々このプロジェクトは当社の共通基盤として作成していたため、”共通基盤としての汎用的な業務要件”と、”高島屋が期待している業務要件”の2つを整理して並行して進めていく必要がありました。そのため、本当に必要な要件を見極め整理することに苦労しました。
案件進めていく中でヒヤッとしたのは、”高島屋が期待している業務要件”を間違って解釈をして開発の設計フェーズに進んでしまったことです。一刻も早く対応する必要があったため、役員を巻き込みフロント部分からシステム部門まで素早く社内整理を行い、すぐに先方へ要件をご説明し合意形成を図ることで、開発スケジュールに影響なく整理することができました。
K.M(新規事業)
NEOBANK事業において、パートナー企業の事業や顧客の特性を理解することが重要だということを改めて実感したプロジェクトでしたね。
実際にアプリを作っていく部分などはいかがでしたか?
N.Y(デザイナー)
アプリのデザイン部分では高島屋友の会の商品性の理解と、それをいかにお客さまにわかりやすく伝えるか、画面に表現するかというところの難しさがありました。
高島屋友の会には、すでに店舗で契約する積立サービスがあり、高島屋NEOBANKアプリでは、その積立サービスのアプリ版『スゴ積み』を利用することができます。基本的な積立サービスの内容は既存のサービス内容を踏襲しつつ、アプリで積立サービスを利用可能にすることがミッションでした。
積立機能もありつつ、友の会会員としての会員特典の機能も両立して画面を設計しなければならない。また、銀行口座との連携ももちろん不可欠...と考えることは山ほどありました。
既存のお客さまのことも考えつつ、新しいサービスをかたちにしていくのは大変そうですね。どのように対応していったのでしょうか?
N.Y(デザイナー)
チームや周りの人とディスカッションして意見を聞いたり、高島屋友の会を使ったことがない社員にテストしてもらうなど、画面を作っては検証を繰り返しました。お客さまにしっかりと伝わるか、という面について徹底的に検証することが、良いプロダクトを生むことにつながると思っています。
開発面ではいかがでしたか。
Y.K(エンジニア)
積立基盤システムの構築では基盤環境からアプリケーションの構築までの構成を検討して、プロジェクトを進める必要がありました。私はアプリケーションの開発を担当することがメインなので基盤の知識が乏しいこともあり、基盤環境の要件整理、設計は非常に難しかったですが、周囲のメンバーにも協力してもらいながら組み上げていくことができました。
自分たちで創り上げたサービスへの想い
そして2022年6月に「高島屋NEOBANKアプリ」がリリースされましたが、どのように感じましたか?
N.Y(デザイナー)
高島屋NEOBANKは、高島屋友の会の『スゴ積み』サービスと組み合わせることで、通常の住信SBIネット銀行支店にはない、独自性のある支店サービスとして提供することができました。
他社と提携することでお客さまに新たな価値を提供できることが、NEOBANKサービスの本質だと考えていますので、今回の事例はその成果を発揮できた一例だと思います。SNS等で『スゴ積み』に対して注目が集まったりと、今まで高島屋友の会を利用していなかったユーザにもリーチできたことが嬉しかったです。
K.M(新規事業)
百貨店は、比較的年齢層の高いお客さまも多いですが、化粧品、ブランド品、デパ地下などは20代の若年層も利用しています。スマホ1台で金融サービスと買い物が体験できることにより、今まで「友の会」を知らなかったデジタルネイティブな若い世代を取り込むための施策を提供できるようになったと思います。
新しいスマホアプリの体験を提供することで、お客さまの層を広げることに繋がりそうですね。
Y.K(エンジニア)
今回高島屋のお客さまに対してNEOBANKサービスを提供できることになり、ご利用いただくお客さまには、高島屋の積立サービスとともに銀行を意識することなく身近に金融サービスを使っていただける環境を整えることができました。これからもパートナー企業さまと共により多くのお客さまにNEOBANKサービスを体験していただきたいと思います。
プロジェクトを通じて見えてきたもの
プロジェクトを終えてみていかがでしたか。今後のご自身の展望も含めてお聞かせください。
Y.K(エンジニア)
この高島屋NEOBANKサービスを提供するために、多くのシステム、多くの社員・開発ベンダーさまが関わって進めていることを改めて実感することができました。また普段であれば関わらない方々とも仕事をすることができ、今後の仕事の進め方の幅が広がったと感じています。
大変な部分もありましたが、サービス提供を開始したときには「やり遂げることができたんだなぁ」と込み上げてくるものがありました。まだまだ私にも伸びしろあると思ってるので、改善すべきことは改善し、次のチャレンジに活かしたいと思います。
N.Y(デザイナー)
プロジェクトの最初から最後まで携わったことで、いかに開発要件を理解しやすい状態で伝えるかの重要さを実感しました。細かい仕様については、アプリの実装知識や、開発の制約なども理解したうえで出せることがベストのため、デザイン面だけでなく、実装面についてもこれからも勉強していくことが必要不可欠であると再認識しました。
W.K(DX企画)
本プロジェクトを通して、クライアントさまが実現したいことを正しく理解し伝達する難しさを実感いたしました。
部署の役割として社内やクライアントさまだけでなく、多くの関係者とコミュニケーションを取る必要があります。
そのため、専門知識・スキルは勿論、常に変化する環境に柔軟に対応できるようになっていきたいと思っています。
K.M(新規事業)
2022年6月に高島屋NEOBANKはスタートしましたが、新しいサービスだからこそ、実際の顧客ニーズとは乖離があった、ということも起こり得ると思っています。そのような顧客ニーズとの乖離をなくしていくためにも、ユーザーの声を集めることは重要だと思っていますので、まずはNEOBANKサービスの更なる利用拡大を目指していきたいです。
サービスをリリースして終わりではなく、実際の利用者の声を受けながら改善点を探っていき、より快適な顧客体験を届けていきたいと思っています。
N.Y(デザイナー)
実際、リリース後に浮き出た課題があるため、改善やさらなる展開を踏まえたサービス設計を行っています。リリースはスタートでしかなく、そのあとにどういったサービスに成長させるかが事業発展の要と考えています。高島屋NEOBANKという一つのプロダクトを通して、お客さまが良い体験をできるように、妥協せず改良を続けていきたいと思っています。
「高島屋NEOBANK」について
「高島屋NEOBANK」は高島屋ブランドを生かしながら高島屋のお客さまに対して魅力的な金融サービスを提供することができます。また、高島屋の銀行サービス参入は、大手百貨店としては初の試みとなるものです。「高島屋NEOBANK」のご利用には、「高島屋NEOBANK」アプリをダウンロードして口座開設をしていただくことで、住信SBIネット銀行が提供する預金、決済、融資といった銀行サービスを利用することができます。さらに、毎月一定額を12ヵ月積み立てていただくと1ヵ月分のボーナスをプラスした金額のお買物ができる百貨店ならではの積み立てサービス「高島屋のスゴイ積立」(通称:「スゴ積み」)をアプリに搭載しています。「NEOBANK®」サービスは、これまでに「JAL NEOBANK」「T NEOBANK」「ヤマダ NEOBANK」「おうちバンク」など、幅広い分野でパートナー企業の課題を解決しながらも新たな付加価値を提供できるサービスです。